幸せごはん 夢いちは、JR旭川駅から豊岡方面へ車で10分ほど走った住宅街にあります。暖簾(のれん)には、『鮮魚』『和酒』と書かれ、食材にこだわり提供されています。なぜ、食材にこだわるのか?これまで、どんな経験を積まれてきたのか?オーナーの水越氏にお話しを伺いました。

 

はちめしスタッフ(以下、スタッフ)
幸せごはん 夢いち 水越 氏 (以下、水越)

 

スタッフ:

以前、お店のお客様は市内に限らず、道内外からたくさんいらっしゃるとお聞きしました。その魅力を発見できたらと思っているのですが。どうして水越さんは、料理人になろうと思ったのですか?

水越:

そうですね、親父の影響が大きかったと思います。
僕の家族は、僕が小学校1年生の時にお袋が亡くなって、親父が男手ひとつで僕と弟を養ってくれたんですね。
当時、親父は空調設備業の社長をやっていたんですが、大した料理ができる人だったんですよ。
食材もスーパーじゃなくて、お袋の故郷でもある小樽の市場まで買いに行くような人で、ちらし寿司を作らせたら、具材を全部別々に炊いて、寿司酢も作っていたので、「お米に混ぜるだけみたい」なキットは使いませんでした。

スタッフ:

すごいお父さんですね!
水越さん兄弟を養いながら、そこまでやるなんてカッコイイですね。

水越:

そうなんです(笑)
でも、そんな親父も僕が21歳の時に亡くなって、その時に弟に言ったんです。
「お前は、空調設備の仕事をやれ。俺は、親父のもう一つの夢だったレストランをやる」
って。

スタッフ:

そんな約束を交わされたんですね。
それからお料理の仕事に就いたんですか?

水越:

その前から料理の仕事はしてました。
高校を中退した後に、超高級韓国料理店で働き始めてて。その最中に親父が亡くなったんですよね。

スタッフ:

そうでしたか。

水越:

けど、当時は、毎日辞めたいと思ってたんです。
包丁もろくに使えなくて、玉ねぎを切ってたら、自分の指を切ってましたし。で、その切ったところから玉ねぎがしみてきて、痛くて痛くて。
だけど、親父が亡くなって弟と約束をしたから、ちゃんとやろうと思って、朝までやってるレストランと掛け持ちを始めました。

スタッフ:

(静かにうなずく)

水越:

そこのレストランがすごい人たちが集まってたんですよ。
フランス料理なのに、すごく腕のいい和食や中華の職人たちがいて。
今、僕がお寿司を握れたり、フランス料理のソースが作れるのは、そこで基礎が身についたおかげなんですよね。

スタッフ:

オールマイティにいろんなことができるんですね!
その経験がお店には詰まってるんですか?

水越:

そうですね。
でも、「料理人としてできることはなんだろう?」と考えたことがあって、その時に、「これだ!」というものを見つけたんです。

お店には、旭川の方だけではなく、日本中、または海外からお客様が来てくださるのですが、そのお客様に『心のこもったおもてなし』と『あたたかさ』を提供する事だという事に。

お店で提供されたお刺身

スタッフ:

そうなんですね。
そこに行き着いたのは、どんなことがあったんですか?

水越:

現代人があまり外食しないのは、ワクワクしないからだと、僕は思ってて。
どこへ食べに行っても、お料理のイメージがだいたい想像ができちゃうわけですよ。
それに、今って、クックパッドや料理本がたくさん出てるから、コストもかけずにすごいお料理を作る主婦の方も僕の周りにはたくさんいます。
だから、わざわざ家で食べれそうなものを作る必要もないなと思うんです。

スタッフ:

確かに、自宅で食べれるものを外食したいか、と言われると違いますね。

水越:

『外食をする』ということは、そういうことですよね。

僕が小さい頃、外食で行ったお店が印象的に残ってるんですが。
階段を上がってお店の自動ドアが開くと、カウンターに氷がブワーと敷き詰められてて、その上にカニやホタテ、ホッケが並んでたんです。
それをみた時にすごく感動して、そのころの感動をお店で提供したいと思ってます。大人になっても、外食するワクワクを感じて欲しい、というか。

スタッフ:

今では、そういう演出をするお店を見かけることがありますが、当時はとても斬新な演出だったんでしょうね。
それに、大人になってから、外食するワクワクをあまり感じたことがないかも…。

水越:

30年前の話ですが(笑)
多くの大人がそうだと思います。
そんな大人たちを見てるから、子供たちも外食するワクワクを感じないんじゃないかなって思います。
なので、夢いちも、ただの居酒屋じゃなくて、『カジュアル割烹』というジャンルでやることにしました。

スタッフ:

カジュアル割烹ですか?

水越:

メニュー表から決まったものを選ぶのもいいんですけど。
夢いちにせっかく来てくださっているんだから「僕に任せてよ」と思うんです。
そのために、食材にはとことんこだわってて、生産者さんの所や漁港まで行って、自分の目で確かめてくるようにしてます。
卵を産む鶏舎まで行って、どんな餌を与えているのか、経営者はどんな想いでやっているのかを聞かせてもらい、僕の想いも伝えた上で、お互いが納得できれば仕入れさせていただいてます。

スタッフ:

そこまでされてるんですね!

水越:

仕入れや契約の仕方が特殊ということもありますけど。
それに、今、来てくださるお客様がメニュー表を見ないので、料理名を書いたものを作ってないんですよね(笑)

スタッフ:

あ、確かにない!!!

水越:

その分、お客様は金額がわからないので不安を感じることもあるんですが。
それを「いくらでやって」と言われれば4000円〜 ですが、その金額に合わせて、産地から食材を送ってもらいます。贅沢ですよね!

スタッフ:

大人な食事の仕方ですね。
そこまで想って提供されるお料理ですから、味わい深いものが食べられそうですね。

水越:

そんなふうに提供できるのも、他産地消という価値がわかる『食への感度が高い』お客様が増えたからだと思います。
もともと日本には旬があり、生産者もたくさんいます。
お客様が日本の食を本当に楽しみ、僕ら料理人や生産者への絶対的な信頼を感じてくれてるからできることじゃないかな。
なので、お店の中はいつも自然とみんなが家族のように食卓を囲み、笑顔でいてくれます。

スタッフ:

それが本来の日本人のあり方かもしれませんね。
けれども、気になるんですが。
どうして、そこまでいろんなことにこだわるんですか?

水越:

それは、『人の命の尊さや重さ』に気づいたから、だと思います。

スタッフ:

命の尊さ、ですか?

水越:

お店を長くやっていたら、自分の親みたいに可愛がってくれる人が現れるんですね。そういう人や親父が亡くなって、人が死ぬことの悲しさをより深く実感しました。

それに、今回のウィルスだって、死ぬって決まってるから死んだわけじゃないと思うんです。
でも、こういう状況下では、僕ら料理人が騒いでもワクチンが作れるわけじゃないし、何もできないわけですよ。
けれども、そこで諦めるんじゃなくて、僕らにできることを考える必要があると思うんです。

スタッフ:

(うんうん)

水越:

人は、いろんな食材から命をいただいて生きてるわけで。
その中には、人が生きていくのに必要不可欠な栄養素が含まれています。
だから、体に必要な栄養素をきちんと採れる食を編み出すことが、僕らにできることだと思うんです。
『 With コロナ 』と呼ばれる時代を迎えるからこそ、命を紡ぐことが僕たちの使命じゃないかな、と。

スタッフ:

ただお腹を満たせればいい、というわけじゃないですね。

水越:

それでもいい時もありますが、僕が思う食事は、ただお腹を満たせばいいわけじゃなく、心を満たすものだと思います。
食べ物で人が変わり、体や心が変わり、価値観も変わる。

だから、はちめしのデリバリーや「はちめしの日」で提供するものは、『超鮮度(ちょうせんど)』と『誰と食べるのか』を大切にしてます。

「幸せな食卓を常にイメージして提供していくことができたら
 互いを思いやる心がもっと養われるんじゃないかな」

と思うので。

スタッフ:

いやー、お料理が届くのが楽しみですね!
水越さんの想いが詰まったお料理を食べれることを楽しみにしてます。
今日は、ありがとうございました。

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